第17回 拒絶反論手続/後編

 審査官に負けるな!
 
拒絶反論手続(後編)
 

(6) 反論検討
 
もっとも重要なポイント
 
にきました!

 期限確認、内容確認
 
を行った後

 どのような反論を
 
行うか…

 実質的な検討に入ります

 反論検討は
・審査官の主張の検討
・反論方針の検討

 からなります

 審査官の主張は
 
基本的に
 
パターン化されているので

 反論のしかたも

 基本的に
 
パターン化すれば

 容易に反論できる
 
ようになります

 ーーー
・審査官の主張の検討
 
[記載不備拒絶]
 
明確性・サポート要件
 
について解説します

 明確性 (第36条第6項第2号)
 
請求項の記載に曖昧な表現や技術的な不備等があるため、発明を明確に把握できない場合に通知されます

 サポート要件 (第36条第6項第1号)
 
請求項に記載した発明が発明の詳細な説明にサポートされていない場合に通知されます

 どのような場合に
 
これらが通知されるか…
 
については

 特許庁の審査基準
 
にその類型が
 
挙げられています

 特許庁審査官は
 
その審査基準に基づき

 該当する場合には
 
本理由により
 
拒絶理由を通知します

 拒絶理由の解説(特許庁)

 から審査基準を確認できます

 したがって
 
出願人も

 審査基準に基づき
 
審査官の主張が妥当か…
 
又は失当か

 を検討します

 拒絶理由通知には
 
不明確な箇所、理由が
 
記載されていますので

 それを参照して
 
判断してください!

 ーーー
 
[実体拒絶]
 
新規性・進歩性
 
について解説します

 新規性 (第29条第1項各号)
 
請求項に記載した発明が出願前の文献やインターネット等に公開されているものと同一である場合に通知されます

 進歩性 (第29条第2項)
 
請求項に記載した発明が出願前の文献やインターネット等に公開されているもの又はそれらの組合せから容易に考えられると判断される場合に通知されます

 特許庁審査官が
 
これらの理由で拒絶する場合

 必ず
 
以下のパターンで拒絶
 
してきます

 すなわち
 
請求項に記載した発明
 
の構成要素と

 拒絶の根拠となった文献等
 
に開示された発明
 
の構成要素と

 の比較です

 一例ですが…

 新規性の場合
 
文献Xのa,b,cは
 
請求項の構成要素A,B,C
 
に相当する

 進歩性の場合
 
文献Xのa,bは
 
請求項の構成要素A,B
 
に相当する

 文献Xの発明と
 
請求項の発明を対比すると

 文献Xの発明は
 
Cを有していない点で
 
相違するが…

 文献Yは
 
請求項の構成要素Cに相当する
 
cを開示する

 したがって
 
文献Yのcを文献Xの発明
 
に適用して請求項の発明
 
とすることは
 
当業者にとって容易である

 といった具合に…

 よって
 
文献X、Yをよんで

 特許庁審査官の言っていること
 
が妥当か、失当か

 を検討します

 ただし
 
進歩性の判断については

 新規性等の他の拒絶
 
とは異なり

 後述するような
 
独自のフローがあるので

 ここでは
 
なんとなく…
 
でいいので

 特許庁審査官の主張が
 
妥当か、失当か

 を検討すれば
 
十分です

 ーーー
・反論方針の検討
 
[記載不備拒絶]
 
審査官の主張が妥当な場合

 明確性・サポート要件など
 
を満たすように
 
請求項を補正する方針
 
とします

 例えば
 よくある事例として

 「前記○○」とあるのに
 この記載より前に「○○」が

 ないので

 請求項の記載が不明瞭である

 といった明確性違反の
 拒絶を受けたときは

 指摘された「前記○○」
 を「○○」に補正する

 といった方針をたてます

 一方
 請求項の記載に
 記載不備はなく

 審査官の主張が失当な
 場合には

 その旨を反論する
 方針とします

 ここでポイント!

 明確性拒絶に反論する
 ときは…

 当業者ならば理解できる
 ので不明瞭でない…

 といった具合に
 反論をパターン化し

 同様に
 サポート要件拒絶に
 反論するときは

 明細書や図面から明白
 であるときは

 その箇所を指摘し

 明白とはいえないときは
 明細書や図面の記載から

 当業者ならば
 〇〇であることが自明である
 (〇〇が十分に
 サポートされている)

 といった具合に
 反論をパターン化すること

 例えば
 明確性違反の拒絶について

 請求項中の「××」の用語が
 一般的でなく、かつ
 明細書中に定義もない

 ので、その意味内容を
 理解できない

 といった指摘を受けた場合

 出願人としては
 出願時の技術常識等から

 当業者ならば「××」
 の意味内容を容易に
 理解できる…

 といった反論方針
 をたてます

 ーーー
 [実体拒絶]
 新規性
 審査官の主張が妥当な場合

 文献Xの発明と同一
 とならないように

 新たな構成要素を
 追加等する補正を行う
 方針とします

 例えば
 明細書中に

 A+B+C+Dの実施例
 が記載されていたら

 請求項の構成要素を
 A,B,Cから
 A,B,C,Dに
 に補正する

 すなわち
 文献Xに開示されていない
 構成要素を追加する

 といった具合に
 反論方針をパターン化します

 一方
 特許庁審査官の

 文献Xの構成要素a,b,c
 に対する

 解釈が誤っており

 請求項の発明と
 文献Xの発明とが同一
 とはいえず

 審査官の主張が失当な
 場合には

 その旨を反論する方針
 とします

 例えば
 特許庁審査官は

 文献Xのbが
 請求項の構成要素Bに
 相当する

 といっているけど…
 文献Xをよくよむと

 文献Xのbが
 請求項の構成要素Bに
 相当しないこと

 が明らかな場合には

 その旨を反論する方針
 をたてます

 ここで注意点です!

 この実体拒絶と同時に
 記載不備拒絶が指摘され
 ているとき

 その記載不備拒絶
 例えば、請求項の構成要素
 Bが不明瞭であること

 に起因して

 請求項の構成要素Bが
 文献Xのbと同一と認定
 されている場合がある

 ということです

 このような場合は
 上記の記載不備拒絶の検討
 で解説したように

 請求項の構成要素Bを
 明確にしたうえで

 請求項に記載した発明は
 構成要素Bを備えている点で
 文献Xの発明とは異なる

 といった具合に…
 反論方針をパターン化する

 ことが重要です

 ーーー
 進歩性
 進歩性の拒絶は
 拒絶理由のほとんど
 をしめており

 この拒絶に対する
 反論のしかたを
 マスターすれば

 拒絶理由に対する
 反論をマスターした

 といっても
 過言ではありません

 頑張っていきましょう!

 進歩性の反論方針
 の検討には

 特別なフローが
 あるので

 それにそって
 検討していきます

 a. 主引用発明の検討
 特許庁審査官は
 進歩性の拒絶をだす場合

 上述したように
 例えば

 文献Xのa,bは
 請求項の構成要素A,B
 に相当する…

 といった具合に

 まず
 主引例として

 ある1つの文献X
 を挙げ…

 請求項の発明と
 文献Xに係る発明
 (主引用発明)と

 を比較します

 ここで
 審査官は、通常

 主引用発明としては
 基本的に

 請求項に係る発明と
 同じ技術分野のものを

 挙げてきます

 そして
 文献Xの発明と
 請求項の発明を対比すると

 文献Xの発明は
 Cを有していない点で
 相違する…

 といった具合に

 両者の相違点を
 認定します

 したがって
 反論方針を立てる
 に当たっても

 まずは
 主引用発明についての

 審査官の認定が
 妥当か、失当か

 を判断します

 失当な場合には
 それを主張する方針
 とします

 一方
 妥当な場合には

 次のステップに
 すすみます

 b.  相違点の検討
 特許庁審査官は
 進歩性の拒絶をだすとき

 上述したように
 請求項に係る発明と
 主引用発明との相違点
 を認定したうえで

 ほとんどの場合
 文献Yに係る発明
 (副引用発明)は

 その相違点、すなわち
 請求項の構成要素Cに相当する
 cを開示する

 したがって

 文献Yのcを文献Xの発明
 に適用して請求項の発明
 とすることは

 当業者
 (請求項に係る発明
 =主引用発明
 の技術分野において
 通常の知識を有する者)

 にとって容易である
 又は

 その相違点は
 文献(副引用発明)
 を示すまでもなく

 設計事項
 (当業者の通常の
 スキルによりなしうる
 事項のこと)

 である

 といった流れで
 主張してきます

 そこで
 反論に当たっても

 この流れにそって
 審査官の主張が妥当か、失当か
 を判断します

 b-1. 副引用発明が
   ある場合

 特許庁審査官の
 進歩性否定の根拠は
 パターン化されており

 それは
 請求項に係る発明と
 主引用発明との相違点が

 副引用発明から容易に
 考えられた…

 とする論理づけが

 進歩性否定要素
  動機付け
  設計事項

 進歩性肯定要素
  阻害要因
  有利な効果

 を考慮して
 行うことができる…

 というものです

 したがって
 審査官の主張に対する
 反論は

 この論理づけが
 妥当か、失当かを
 判断する作業となります

 そして
 その判断する作業は

 以下の流れで行うと
 スムーズに進みます

 まず
 文献Y(副引用発明)のcを主引用発明に適用する動機付けがないか…

 を検討します

 この動機付けが
 なければ

 文献Yのcを
 主引用発明に適用した

 審査官の論理づけ
 (進歩性否定の論理構成)

 が誤っていること
 になるからです

 動機付けとは
 当業者が文献Y(副引用発明)
 をみたときに

 cを主引用発明にも
 適用できる…

 といった動機が
 得られること

 をいいます

 つまり
 文献Yからそのような動機
 が得られない…

 なら
 動機付けがない
 ことになります

 例えば
 主引用発明と
 副引用発明について

 両発明の技術分野
 に関連性がない…とか

 両発明の技術分野が
 同じか、又は
 関連性を有するけど

 文献Yに
 主引用発明にも適用できる
 といった示唆がない…とか

 両発明に
 課題の共通性がない…とか

 といったような場合です

 このような場合には
 当業者は

 文献Yのcを
 主引用発明に容易に適用
 することができた…

 とはいえないので

 審査官の主張が
 誤りであること

 を反論する方針
 とします

 一方
 主引用発明と
 副引用発明について

 両発明の技術分野
 に関連性がある…とか

 両発明に
 課題の共通性がある…とか

 といったような場合
 には

 文献Yのcを
 主引用発明に適用する
 動機づけがない…

 とはいえないので

 次に
 文献Yのcを

 主引用発明に容易に
 適用できない…
 といった実情

 すなわち
 阻害要因があるか

 を検討します

 この阻害要因が
 あれば

 文献Yのcを
 主引用発明に適用した

 審査官の論理づけ
 (進歩性否定の論理構成)

 が誤っていること
 になるからです

 阻害要因とは
 文献Y(副引用発明)のcを
 主引用発明に適用すること
 を妨げる要因のこと

 をいいます

 例えば
 副引用発明のcを
 そのまま主引用発明に
 適用すると

 主引用発明が機能
 しなくなったり

 主引用発明の目的
 に反するようになるときは

 阻害要因がある
 といえます

 具体的には
 請求項に係る発明のCは
 出口が1つである
 ことが必須なのに

 副引用発明のcは
 出口が2つあり

 これをそのまま
 主引用発明に適用すると

 主引用発明が機能
 しなくなったり

 主引用発明の目的
 に反するようになる

 といった場合です

 また
 文献Y(副引用発明)に

 cの主引用発明への適用を
 排斥する記載があるときも

 阻害要因がある
 といえます

 具体的には
 文献Yに

 「cは~なので
 ○○(主引用発明に相当)
 に適用するのは
 好ましくない」

 といった記載がある
 場合です

 このような場合には
 当業者は

 文献Yのcを
 主引用発明に容易に適用
 することができた…

 とはいえないので

 審査官の主張が
 誤りであること

 を反論する方針とします

 次に
 動機付けがあって
 阻害要因もない…

 とったようなときは

 請求項に係る発明の効果が
 主/副引用発明の効果
 に対して顕著であるか

 すなわち
 請求項に係る発明に
 有利な効果があるか

 を検討します

 この有利な効果が
 あれば

 文献Yのcを
 主引用発明に適用した
 審査官の論理づけ
(進歩性否定の論理構成)

 が誤っていること
 になるからです

 有利な効果とは
 本願出願時の技術水準において、請求項に係る発明の効果が主引用発明や副引用発明から予測できない顕著な効果であることをいいます

 例えば
 主引用発明の効果がα
 副引用発明の効果がβ
 のときに

 請求項に係る発明の効果が
 α+βである

 といったようなものは
 有利な効果とはいえません

 有利な効果とは
 以下のようなものをいいます

 すなわち
 請求項に係る発明の効果が主引用発明や副引用発明の効果に対して異質である場合です

 具体的には
 主引用発明の効果がα
 副引用発明の効果がβ
 なのに対し

 請求項に係る発明の効果が
 主/副引用発明からは
 想像できないγである

 といったような場合です

 また
 請求項に係る発明の効果が主引用発明や副引用発明の効果と同質だけど、主引用発明や副引用発明の効果よりも際立って優れている…

 といったような場合も
 有利な効果といえます

 具体的には
 請求項に係る発明及び
 主/副引用発明の効果が
 いずれもαであるが

 主/副引用発明の効果が
 数値で表すと1なのに対し
 請求項に係る発明の効果は
 数値で表すと100である

 といったような場合です

 このような場合には
 当業者は

 文献Yのcを
 主引用発明に容易に適用
 することができた…

 とはいえないので

 審査官の主張が
 誤りであること

 を反論する方針
 とします

 b-2. 副引用発明が
   ない場合

 特許庁審査官が
 請求項に係る発明と
 主引用発明との相違点を

 当業者の通常の
 スキルによりなしうる
 事項(設計事項)

 として
 進歩性により拒絶するときの
 パターンも決まっており

 それは
 その相違点が

 単なる材料のちがい
 単なる数値範囲のちがい
 単なる部材のちがい

 といったように…

 その違いにより
 両発明の差別化ができない

 とき
 に行われます

 これを単なる○○のちがい
 と呼びます

 例えば
 材料についてなら

 主引用発明の材料と
 異なるけど

 請求項に係る発明の材料は

 単に
 公知材料のなかから
 最適なものを選択した
 にすぎない…とか

 数値範囲についてなら

 主引用発明の範囲と
 異なるけど

 請求項に係る発明の範囲は

 単に
 最適範囲を選択した
 にすぎない…とか

 部材についてなら

 主引用発明の部材と
 異なるけど

 請求項に係る発明の部材は

 単に
 主引用発明の均等物に
 置換したにすぎない…とか

 といった場合です

 これに対する反論は
 意外と簡単です

 そのようなもの…
 単なる○○のちがいでない
 こと

 を主張すればOKです

 そのためには
 実は…

 うえで説明したように

 そのちがいにより、請求項に係る発明には主引用発明からは得られない有利な効果が得られること

 を主張するのが
 最も効果的です

 したがって
 その有利な効果が
 あるならば

 請求項に係る発明と
 主引用発明との相違点が

 設計事項である…
 とはいえないので

 審査官の主張が
 誤りであること

 を反論する方針
 とします

 c. 補正の検討
 進歩性拒絶について
 主引用発明や副引用発明を
 検討してみたけど…

 そのまま
(現在の特許請求の範囲の記載)
 では

 審査官の主張に
 反論することは難しい

 という結論になることも
 しばしばあります

 例えば
 主/副引用発明は

 もともとの
 本願発明の主旨とは異なるが

 請求項に係る発明が
 広めに書いてあった

 ので
 審査官の主張は
 妥当ともいえる…

 でも
 請求項に係る発明を

 もともとの本願発明の主旨
 に合致するかたち
 に限定すれば

 上記のパターンで
 十分に反論できる…

 といったような
 こと

 はよくあります

 例えば
 もともとの本願発明は
 A+B+C‘+Dだったけど

 C‘(バネ)を
 上位概念の言葉C(弾性体)
 にして

 A+B+C+Dで
 特許出願したら

 A,B,Dを開示する
 主引用発明と

 c(ゴム)を開示する
 副引用発明と

 の組み合わせで
 進歩性により拒絶された…

 でも
 請求項に係る発明を

 A+B+C+Dから
 A+B+C‘+Dに補正
 すれば

 主/副引用発明からは
 得られない

 有利な効果が得られる
 ので

 上記のパターンで
 十分に反論できる…

 といったような
 こと

 はよくあります

 このような場合には
 請求項を補正して

 上記のパターンで
 反論する方針とします

(7) 書類作成
 反論方針が定まったら

 その方針に基づき
 応答書類

 すなわち
 意見書及び補正書
 を作成します

 ここでは
 意見書の実体的部分である

 意見の内容
 の書き方を解説します

 なお
 意見書及び補正書の
 
形式的事項については

 以下を参照ください
 意見書・補正書のサンプル(該ページ下部)

 意見書の実体的部分である
 
意見の内容

 実はここ

 基本、自由に書いて
 
いいんです

 でも
 
上記URLのサンプル
 
にもあるように

 審査官に反論するわけ
 
ですから

 審査官に分かってもらう
 
ように

 所定の流れで
 
きちんと書かなければ
 
なりません

 この流れを
 
よりわかり易く示した

 知カツ・テンプレート
 
(意見書・補正書)

 がありますので

 是非…手に入れて
 
参考にしてみてください

 意見の内容は

 例えば
 ①
拒絶理由→②補正→
 
③反論→④むすび

 の流れで記載します

・拒絶理由
 まず
 
拒絶理由(審査官の認定)を
 
簡潔に記載します

 例えば
 
審査官殿は、請求項1に係る発明について、引用文献1及び2に基づき進歩性により特許を受けることができない、と認定されています

 といった具合に…

・補正
 
次に、補正の目的と
 
根拠を示します

 補正が適法でないと
 
以下の反論をみてもらえない
 
からです

 例えば
 
出願人は

 請求項1に係る発明について
 
「~〇〇〇」を「~◎◎◎」
 
にする補正を行いました

 ◎◎◎については
 
いわゆる当初明細書の
 
段落[○○○○]に
 記載されています

 といった具合に…

 なお
 補正については

 補正可能な範囲が
 
補正の時期によって異なるので

 注意してください!

 いまは
 拒絶理由に対する反論を
 解説しているので

 拒絶理由の種類によって
 
どのような範囲で補正できるか

 を以下に簡潔に説明します

【通常(最後でない)拒絶理由】

 出願当初の明細書・図面
 に記載さている事項の範囲内で
 可能です

 但し
 
審査対象を変更するような補正…
 ちょっと難しくいうと

 補正後の発明が補正前の発明と
 出願の単一性を満たさない
 ような補正(シフト補正といいます)

 は認められません

 ※p.s.
 
これは当然ですね!
 これを認めると
 いくらでも発明をシフトでき
 審査負担が増大してしまいます

【最後の拒絶理由】
 上記の制限に加えて
、更に

 ①請求項の削除
 ②特許請求の範囲の減縮
 
(限定的減縮)
 ③誤記の訂正
 ④明瞭でない記載の釈明

 (拒絶理由に示された事項限定)

 といった制限がかかります

 ※p.s.
 
これも当然ですね!
 最後の拒絶は
 審査官の最終判断(拒絶査定)
 に先立ち
 
出願人に便宜を図ったもの
 だから
 現在の発明を減縮したり
 削除するなど
 審査官が負担なく判断できる範囲

 に限定すべきです

・反論
 次に、補正後の特許請求の記載
 
に基づき反論します

 ここで注意点です!

 反論は上記のように
 
特許請求の範囲に記載された
 
事項に基づき行ってください

 特許請求の範囲の
 
記載に基づかないこと

 をいくら述べても

 審査官はそれについて
 
なんら判断してくれない
 
からです

 例えば
 
請求項1に係る発明は

 「~◎◎◎」という特徴
 
を備えています

 これにより
 
△△△という効果を
 
得ることができます

 これに対し
 
引用文献1及び2は

 いずれも「~◎◎◎」について
 
開示しません

 したがって
 
請求項1に係る発明は

 引用文献1及び2
 
に開示される発明から

 容易に想到できたもの
 
ではありません

 といった具合に…

・むすび
 最後に
 
全ての拒絶が解消された旨を
 
定型文として記載します

 例えば
 
以上、説明しましたように、全ての拒絶理由が解消されましたので、再度審査の上、特許査定を賜りますようお願い申し上げます。

 といった具合に…

 これで意見書は完成です!

 最後にちょっとだけ
 
形式的事項ですが

 補正書で忘れがちなこと
 
について解説します

 補正によって
 
請求項数が増加した場合

 特許庁に追加料金を
 
支払う必要があります

 お忘れなきよう…

 でも
 
数回の補正で数が増減した場合

 追加料金を支払うのか
 
支払わなくてもよいのか…

 悩むことがあります

 でも
 
知カツ_補正書テンプレート

 をみれば
 これもばっちり!

 是非…手に入れてね!

 以上で書類作成は
 
完了です

 ーーー
 
(8) 庁提出
 
応答書類(意見書・補正書)
 
を作成したら

 電子出願(インターネット出願)
 ソフトを用いて

 応答書類を特許庁に
 提出しましょう

 この手続(中間手続)のフローは
 特許出願を行う手続のフロー
 と同じです

 ※出願から特許査定まで
  に発生する手続を
  中間手続といいます

 すなわち
 特許出願の場合は

 提出書類が
 願書、特許請求の範囲、
 明細書、要約書、図面

 であるのに対し
 この中間手続の場合は

 提出書類が
 意見書・補正書

 である
 のみの違いです

 したがって
 第6回 電子出願手続
 をマスターしていれば

 この手続は
 簡単にできます!

 以下
 注意点を解説します

・書類準備ステップ
 電子出願ソフトで
 応答書類を提出するため

 例えば
 ワードで作成した応答書類を
 HTML形式に変換します

 この作業は
 特許出願の手続と同じで

 特に注記すべきことは
 ありませんが

 同じということは
 この応答書類でも

 参考図…とか
 効果を説明する表…とか

 を追加できる
 ことを意味します

 先に解説した
 応答書類の作成において

 適宜、参考図などを
 盛り込んでおくと

 審査官に対して
 わかり易く、納得してもらえる
 反論ができるようになります

・提出ステップ
 特許出願の出願ステップに
 対応します

 応答書類(意見書・補正書)
 についても

 特許出願の場合と同様に
 電子出願ソフトの

 「出願」タブから
 「送信ファイル」を選択します

 そして
 HTML形式の応答書類(.htm)を

 画面中、右上の「書類状況…」
 と書かれた枠内に

 ドラッグ&ドロップします

 すると
 自動的に、電子出願ソフトが

 形式チェックを行って
 くれます

 この後
 実際に応答書類を
 特許庁に送信します

 ただ
 特許出願の場合と同様に

 送信前には、面倒でも
 再度

 提出ファイルをPDFで
 打ち出して

 その内容を
 最終チェックしましょう

 ここで
 ポイントです!

 今回は
 意見書と補正書の2つの
 書類を提出します

 この場合
 2つのファイルを選択した
 状態で

 「オンライン出願」のボタン
 をおせば

 これら2つの書類が
 同時に
 特許庁に送信されます

 まえにも述べましたが…
 特許実務では

 複数の書類を同時に特許庁に
 提出したい場合が
 多々あります

 このような
 ノウハウを知っておくと

 後々、役に立つ
 こともあると思います

 送信が完了した後
 補正書に手数料の表示
 があるときは

 自動的に
 指定立替納付(クレジットカード)

 による支払手続に
 すすむので

 電子出願ソフトの
 指示にしたがって
 すすめば

 追加手数料の支払も
 らくちんです

 これで
 応答書類の提出完了です

 なお
 応答書類を受領した旨は

 「受領書」のタブ
 で確認できますし

 応答書類一式は
 「受理済」のタブから
 確認できます

 応答書類一式については
 ダウンロードして

 保存しておくのが
 よいでしょう!

 以上により
 審査官の拒絶理由に対する
 反論が完了です!