第7回 考える(前編)

 第1回から第6回まで
 とんとんと進んできましたが

 最も重要なポイントにきました!

 いままでは
 あなたの必要に対し

 単に世の中にあるものを
 しらべて…まねて…ぐちる
 といっただけで

 あなた自身が創作する
 ということはありませんでした

 ここからが
 まねるはつめいの極意の神髄
 となります

 第6回において
 あなたは…あらたな必要を
 みつけました

 まねつはつめいの極意は
 このあらたな必要を
 
まねる+α(創作)により
 解決することをめざします

 そして
 この+αは…単なる創作ではなく

 特許をとれるような創作
 である点に特徴があります

 従来のはつめい創作法は 

 あなたの必要(課題)に対して
 様々な工夫を考え、かつ

 失敗を繰り返すことで

 最終的に、はつめい完成に至る…
 というのが一般的でした

 これはこれで良いのですが…
 そのはつめい完成と特許がとれるかは
 全く別のはなしとなります

 例えば…さきの
 ビンのふた開けを補助する
 平らなゴムリングについて

 ペットボトルに対応し
 ふた開け時に
 すべらないようにする

 というあらたな必要を
 解決するために

 様々な工夫を考え、かつ
 失敗を繰り返すことで

 最終的に
 凹凸ですべりを防止したゴムリング  
 というはつめい
 
が完成したとします

 でも…このはつめい
 特許をとれるでしょうか?

 もし
 何も考えずに

 そのはつめいについて
 特許出願をしたとします

 しかし
 特許出願から約1年後に

 このはつめいは
 具体性がなく、法上のはつめい
 に該当しない

 又は
 さきの平らなゴムリングと

 凹凸ですべりを防止する床シート
 を引用例(公知例)として

 ゴムリングに凹凸を設けて
 すべりを防止することは
 当業者に容易である

 として拒絶されたら
 どしますか?

 これに対し
 まねるはつめいの極意は

 あなたの必要に対して
 
まず…第1回から第6回で
 
説明したように…

 しらべて…まねて…ぐちることで
 あらたな必要をみつけます

 そして…
 
そのあらたな必要に対しても
 直ちに考えるのではなく

 再び…
 
しらべて…まねて…+αすることで
 はつめいを完成させる
 
ものです

 そして…最も重要な点は
 
この+αをひらめくにあたり

 従来のように…単に
 様々な工夫を考え、かつ
 失敗を繰り返す

 というのではなく

 どのようにすれば特許をとれるのか
 を
審査基準からフィードバックし

 それに基づいて
 
特許をとれるような+α
 を
創作する

 というのがキーとなります

 以下、具体的に説明します

 まず…
 どのようにすれば特許をとれるのか

 を理解する必要があります

 結論から述べると…
 
特許をとるには

 あなたのはつめいが

特許法上のはつめいとして
 成立していること

②従来技術に対して
 
新規性(新しいこと)
 進歩性(容易でないこと)
 を有していること

 必要となります

 上記②の新規性については
 
新しいアイデアを考える
 に当たっては

 だれもが意識していること
 
と思います

 でも…
 ①については
 まったくと言っていいほど

 考えずに

 また
 
②の進歩性についても
 
何も考えないか、又は
 
主観的に
容易でないと判断し

 アイデア創作しているひとが
 ほとんどです

 その理由は明確で…

 どうすれば
 
法上のはつめいになるか

 また
 どこまでが容易で
 どこからが容易でない

 ということが分からないから
 です

 その結果
 そのアイデアを権利化しようと
 したとき

 意図せず
 拒絶されてしまう
 ということがよくあります

 では…どうする?

 はつめいが特許になるかどうか
 の特許審査基準
 フィードバックし

 それに基づき
 特許をとれるような+α(創作)
 をすれば
いいんです

 まず

 あなたのはつめいが
 
特許法上のはつめいとして
 成立していること

 について解説します

 実はあなたが思っているはつめい
 (ひらめき)と

 特許法上のはつめいとは
 違っている場合が多いんです

 特許法上のはつめいは
 自然法則を利用した
 技術的思想の創作と定義され

 技術的思想であるので

 みんなに
 客観的に伝えることができる
 具体性(具体的手段)を有するもの

 でなければ
 ならないんです

 つまり
 ひらめいただけでは

 自分ではイメージできたとしても
 みんなは具体的にどんなものか
 分かりません

 もし…
 あなたのはつめい(ひらめき)が
 特許審査において
 特許法上のはつめいとして
 成立していない…

 と判断されてしまうと
 特許をとることができません

 そこで
 そのひらめきを

 みんなに
 客観的に伝えることができる
 具体性を有するもの

 すなわち
 
特許法上のはつめいにする

 ことが必要となります

 でも…
 客観的に伝えることができる
 具体性を有するもの

 にするには
 どうしたらいいの?

 例えば
 さきのはつめい…
 凹凸ですべりを防止したゴムリング
 だって…

 客観的に伝えることができる
 具体性を有するもの

 なんじゃないの?

 と思うひともいる
 かも知れません

 しかし

 例えば
 さきのはつめい…
 凹凸ですべりを防止したゴムリング
 は…

 みんなに
 客観的に伝えることができる

 具体性を有するもの

 じゃないんです

 なぜなら
 客観的に伝えることができる
 具体性を有するもの

 と言えるためには

 その文書(文言)から
 あるかたちが一義的に

 導かれなければ
 ならない…

 言い換えると
 あるかたちが一義的に
 導かれなければ

 そのはつめいを
 第三者は再現できない

 すなわち
 第三者に客観的に
 伝えることができない

 からです

 例えば
 さきのはつめい…
 凹凸ですべりを防止したゴムリング

 をもう一度…
 考えてみてください

 凹凸をどのうようにして
 すべりを防止しているのか
 分かりません!

 すなわち
 凹凸ですべりを防止したゴムリング
 

 凹凸ですべりを防止する
 という着想を示したに
 過ぎないんです

 実は
 特許法上のはつめいは
 着想と具体化からなる

 と言われていて

 この具体化を忘れるひと
 が非常に多いんです

 では…
 特許法上のはつめいにするため
 具体的にどうすればよい?

 それには
 あなたのひらめきを
 ・書いて
 ・かたちにしてみる
 のが有効です

 例えば
 さきのはつめい…
 凹凸ですべりを防止したゴムリング
 を…

 実際に
 書いて、かたちにたして
 みてください

 例えば
 ペットボトルのふたの

 凹凸に合致する
 歯車状、又ははしご状の凹凸を
 内面に持つゴムリング

 といった

 第三者が一義的に再現できる
 特許法上のはつめいが
 完成すると思います

 このように 

 あなたのひらめきを
 ・書いて
 ・かたちにする

 ことで

 まねる+α(創作)を
 特許法上のはつめいとする
 ことが可能になります

 なお
 まねる+α(創作)を
 特許をとれるはつめいにする
 には

 もうひとつ
 あなたのはつめいが

 新規性(新しいこと)
 進歩性(容易でないこと)
 を有していること

 必要となります

 これについては
 次回第8回の「考える(後編)」
 で述べます

 最後に
 まねる+α(創作)を
 特許法上のはつめいとする際の
 注意点を述べておきます

 さきほど…
 特許法上のはつめいは
 着想と具体化からなると

 説明しましたが

 この具体化にあたり
 もともとの着想を限定し過ぎない

 ようにしてください

 ここが特許をとれるはつめい
 を創作するに当たって
 最も難しい点なのですが…

 結論のみ述べると
 この具体化をできるだけ多く
 行ってください

 言い換えると…
 まねる+αのはつめいを
 いっぱいしてください

 これにより
 特許出願する際の権利範囲を
 もともとの着想に近付ける
 ことができるからです

 参考:
 発明のブラッシュアップ&プラスα