第16回 拒絶反論手続/前編

 審査官に負けるな!
 
拒絶反論手続(前編)

[内容]
 
審査官の拒絶通知に対して
 
反論する流れを解説します

[事実]
 
拒絶通知=よくわからない

 出願後、拒絶通知がきたけど
 
どう対応したらよいか
 
わからない

[極意]
 
拒絶通知はパターン化
 
されているので

 対応もパターン化すれば
 
容易に反論できる

[説明]
(1) 概要
 
ひと昔まえまでは
 
拒絶理由は審査官の挨拶替わり…

 すなわち
 
拒絶理由をもらってから
 
クレームを考えましょう…

 拒絶理由をもらわない一発許可は
 悪いクレーム(権利範囲)です…

 などと言われていました!

 しかし…いまは
 
審査官の調査レベルと

 同等又はそれ以上のレベルで
 
調査を行うことが可能です

 したがって
 
調査をしっかり行ってから

 特許出願(申請)を行えば
 
基本的に拒絶通知は来ず

 良いクレーム(適切な権利範囲)で
 
いわゆる一発許可を
 
もらうことも可能です

 実際
 実務の世界では

 拒絶理由による
 時間的・労力的・費用的負担を
 軽減するため

 そのようなケースが
 
増えてきています!

 しかし…
 
独自の特許戦略を
 
持っていたり…とか

 また
 
レアケースですが

 出願時に意図しなかった
 
文献が発見された…など

 審査官から
 
拒絶理由が通知される
 
こともあります

 このような場合
 
なんら対策をたてていないと

 拒絶理由にどう対応
 
したらよいか、わからず

 結果として
 
特許になり得るのに
 
拒絶が確定したり

 意図しないような限定を
 
してしまったり、など

 じぶんに不利な
 
状況になってしまうので
 
注意が必要です

 以下では
 
このような状況にならない
 
ために

 主として
 
拒絶理由に対する

 実質的事項についての
 
反論のしかた(フロー)
 
について解説します

 なお…
 
拒絶理由の解説
 
(形式的事項)については

 特許庁のホームページ
 
に紹介されていますので
 みておいてください!

 ※拒絶理由の解説(特許庁)

 ーーー
(2) 全体フロー
 
まず、全体の流れ
 
を理解しましょう

 全体の流れは
 
書類の受取→期限確認→
 
内容確認→反論検討→
 
書類作成→庁提出

 となります

 ここで注意点!
 
書類の受取はともかく…

 その後の流れですが
 
拒絶理由通知書には

 いろんな情報が
 
記載されています

 したがって
 
これを冒頭から

 ひとつひとつ
 
みていくと…

 特に
 
なれていないひとは

 わけがわからなく
 
なってしまいますので

 以下の流れにしたがい
 
拒絶理由通知書の
 
必要な部分のみをみて

 すなわち
 
不要な部分はとばして

 効率よく
 
すすめるように
 
しましょう!

 ーーー
(3) 書類の受取
 
拒絶理由通知は
 
電子出願ソフト、又は
 
郵便にて受け取ります

 電子出願ソフトで
 
特許出願した場合には

 基本的に
 
電子出願ソフトで受取
 
(オンライン発送)
 
ができます

 その場合は
 
電子出願ソフトの補助機能

 「サービスメニュー照会/変更」で
 
「オンライン発送利用希望」を
 
「あり」に設定すれば

 OKです

 しかし
 
そのようにしなくても
 
大丈夫です!

 特許事務所のような
 
毎週、発送書類をチェックする
 
ような業務をおこなう

 ところなら
 
ともかく

 例えば
 
年に一件しか
 
出願してないのに

 いつくるかわからない
 
拒絶理由通知を

 それがきてるか
 
毎週確認するのは
 
現実的でないからです

 なお…
 
「オンライン発送利用希望」を
 
「あり」に設定しても

 発送書類(拒絶理由通知)を
 
電子出願ソフトで

 受取可能日から
 
10日以内に受信しなかったら

 別途
 
特許庁から書類が郵送される
 
ので問題ありません

 ーーー
(4) 期限確認
 
拒絶理由通知を受け取ったら

 まず
 
応答期限を確認しましょう!

 応答期間は
 
拒絶理由通知の発送日から
 
60日が基本です

 拒絶理由通知書の冒頭部分に
 
記載されているので
 
確認してください!

 従って
 
応答期限は
 
約2ヶ月後となります

 じぶんで計算して
 
確認・管理しましょう!

 p.s.
 
計算が苦手なひとは
 
先の拒絶理由の解説(特許庁)

 に自動計算してくれるツール
 
があるので

 参照してみてください

 なお…
 
応答期限は

 その応答期間の
 
経過前でも
 
経過後でも

 延長可能ですが…

 別途
 
費用が発生しますので

 なるべく
 
期限内に応答しましょう!

 ーーー
(5) 内容確認
 
応答期限を確認したら

 つぎに
 
拒絶理由の内容を
 
確認しましょう!

 具体的には
 
拒絶理由通知の「理由」
 
の欄を確認します

 この段階では
 
「理由」の詳細まで

 検討する必要は
 
ありません

 概要のみ
 
を把握しましょう

 すなわち
 
・拒絶理由(根拠条文)
 
・引用文献
 
を確認します

 まず
 
「理由」の冒頭から
 
拒絶理由を確認します

 1.(新規性)…特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない

 2.(進歩性)…特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない

 3.(明確性)…特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、など

 と記載されています

 また
 
その下にある

 「記」と書かれた箇所
 

 ●理由1
 
●理由2
 
 …

 の冒頭から
 
拒絶理由の対象
 
となっている

 ・請求項
 
・引用文献

 を把握します

 この段階では
 
その下の説明(備考として記載されていることが多いです)

 をみる必要はありません

 そして
 
「理由」の最後に

 <拒絶の理由を発見しない請求項>

 という記載があるか…
 
確認します

 ある場合には
 
拒絶の理由を発見しない
 
請求項

 すなわち
 
現時点で許可されている
 
請求項がどれか…

 確認します

 このステップは
 
どの請求項が
 
なんの理由で拒絶され

 どの請求項が
 
許可されているか…

 の全体像を把握する
 
ことを目的とします

 よって
 
以下のように

 これらを表に
 
まとめておくのが

 後の処理を行うに
 
あたり

 非常に有効です!

 ーーー
請求項  ○/×   理由
 1   ×   進歩性:文献1+2
 
2   ×   進歩性:文献1+3
 
3   ×   記載不備
 
4   〇   …を限定
 
5   〇   …を限定

 ーーー
 
なお
 
<引用文献等一覧>
 
に記載された文献は

 J-plat patで取得
 
しておきましょう!